エモい江戸

こんにちは。

今年も桜が綺麗に咲きましたね。
どちらかへお花見に行かれましたか?
僕は街中を歩きながら色々な場所の桜を見て回りましたが、とにかく人出が多いですね。
どこもかしこも人でいっぱい…。
日本人だけではなく、多くの外国の方も楽しんでおられるようでした。
みんな桜が好きなんですね。

桜といえば日本の文化には欠かせない存在ですよね。
日本画に描かれる桜は、うっとりするほど優しい色で輝いています。
いつまでもその前に佇んでいたくなります。
その絵の前で一人静かに日本酒を飲んでみたくなりますね。
今年はまだ桜が残っているところもあるので、今週末まではお花見もできそうですが、もし満開の桜を見たいという方は、郷さくら美術館で静かに桜と向き合うのも素敵だと思います。

さて、本日は「江戸時代」の町人たちと一緒に江戸の花見を堪能できる展覧会をご紹介します。

行ってきたのは「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」です。

スーパー浮世絵「江戸の秘密」展

江戸時代、庶民の情報源として、メディアとしての役割を果たしていたのが浮世絵ですね。
この浮世絵自体、今でもその色彩や表現方法に魅了される人が多く、日本だけでなく海外にも多くのファンがおり、立派な芸術作品として認識されています。
とは言っても、江戸時代においては情報の発信源の一つ。
今でいえば雑誌やウェブサイトのイメージでしょう。
であれば、今や動画が当たり前。
ということでかどうかはわかりませんが、デジタルアートとして動く浮世絵を見せてくれるのがこの展覧会です。

「町人文化、暮らし」「歌舞伎」「おばけ」「花魁文化」等々の浮世絵の題材として多く描かれたものにデジタル処理を施し、動きを加えることで、まるで今の時代の出来事のように見せてくれます。
ほぼ等身大のサイズで見せてくれるものもあります。

各展示スペースの入り口には、そのコーナーの見どころを紙芝居スタイルでモニターを使い解説してくれているので、どんなところに着目すると理解が深まるがわかります。
また、その内容は音声でも流されているのでメインの展示を見ながら聞いていれば理解できます。モニターの説明は割愛しても問題なさそうです。
ちなみに音声解説は片岡愛之助さんなので、いい声してました。

美術館で、芸術作品として浮世絵を見てしまうと、「構図が大胆だ」「色使いが鮮やかだ」という見方になりがちで、そこに描かれている人や物、行動の背景については考えることが少なくなってしまいませんか?

この展覧会では、浮世絵の中に描かれている人や物に焦点を当てて「なぜこの人が題材になっているのか」「なぜこのような描かれ方をしているのか」という解説をしてくれています。
江戸という時代の社会的背景(経済状態、政治状態)とそれに伴う庶民の生活レベルなどが実例を見せられることで深く、印象的に理解することができました。
まさしく江戸時代のドキュメンタリーを見ているような感覚でした。

特に驚かされたのは、江戸時代の人々がエンターテインメントの面、人生を楽しむ面において非常に貪欲かつクリエイティブであったという点です。
私たちが現代において「常識」だと思っていることの中にも、江戸時代の商売人が「こうした方が売れるから」という理由で独自に決めたこと、規格を制定してしまったことがいくつもあるようです。
子供時代、いや今でも私を恐怖のどん底に陥れるあの「常識」が商売のためにどこかの誰かが考え出した想像だったなんて…。
「人のアイデアって面白いな。すごいな。」と思わせてくれます。

この展覧会の主役は「デジタルアート」としての浮世絵なので、本物の浮世絵の展示はありません(紹介のためのレプリカパネルはあります)。
浮世絵の登場人物が動く、という楽しみ方ですね。
解説は当時の社会情勢をきちんとしてくれているので、全体としては学校教材のようなまとまりです。
会場も、オフィスビルを9階までエレベーターで上がり、階段やビルの通路を巡る形なので、どこかの大学の学園祭のようで楽しかったです。
もちろん作品はしっかりしているので、「閉会後は江戸東京博物館の常設の解説用展示物として使えばいいのにな」と思えるレベルです。

体験型の展覧会としてとても楽しめます。
平日は21:00、金土祝前日は23:00まで。
場所は日比谷線茅場町駅のすぐ近くなので、休日でなくてもお仕事帰りにも気軽に立ち寄れると思います。
ただし、音声解説をしっかり聞くと、少なくとも1時間くらいはかかるのでお時間に余裕を持っていくのがいいですね。

粋でいなせな江戸っ子の町人文化の体験者になってみませんか?

TAKU

【今週末オススメの展覧会情報】

・スーパー浮世絵 「江戸の秘密」展
日本橋茅場町特設会場【東京都】
2017年01月28日~2017年05月21日

スーパー浮世絵「江戸の秘密」展


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