人間関係がもたらす結果

節分が過ぎ、暦の上では春になりましたね。

今年の節分の話題といえば、恵方巻きのノルマ問題ですよね。
私も仕事の関係で大手コンビニチェーンのフランチャイズオーナーのところへ訪問していたことがありますが、確かに季節のイベントごとに私のところにもノルマが降ってきました。
クリスマスケーキに、おせちに、恵方巻きに…and so on
「何のために取引してやっているかわかってるよな」と言われて、職場の同僚から注文をとってくるよう強要されました。
その思い出があるせいか、それから解放された今ではコンビニの季節もの商品は買う気が全くしませんね。
無理を通せばどこかに歪みが出るものです。
気をつけましょう。

さて、近年ベストセラーになった「嫌われる勇気」でも言っていました。
「すべての悩みの根源は“人間関係によるもの”である」と。
私と前述のコンビニオーナーのような人間関係であれば悩みは尽きませんが、これが良い人間関係であれば、そこに何がしかの悩みが生まれる可能性がありながらも、また一方で自分を成長させられたり、相手の存在によって自分の心が穏やかでいられるようなこともありますよね。

長嶋茂雄と王貞治。
キングカズとゴン中山。
アムロとシャア。
そして、マティスとルオー。
互いの存在を認め合い、切磋琢磨しあうことで大きな仕事を成し得た好例ですね。

このマティスとルオーをテーマにした展覧会がパナソニック汐留ミュージアムで開かれているので観に行ってきました。

マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―

アンリ・マティス(1869-1954・仏)
ジョルジュ・ルオー(1871-1958・仏)

それぞれに著名な芸術家として認識してはいましたが、言われてみれば確かに同時代、同じフランスに生きた二人なんですね。
であれば、この二人に接点があり交流していたとは思いますが、50年以上に渡って手紙のやりとりをするほど親交が深かったとは知りませんでした。
共にエコール・デ・ボザール(国立美術学校)でギュスターヴ・モローに師事して以来の友人なんですね。
仲良くなった二人が共に才能を開花させ、偉大な芸術家として後世に認識されているところを見ると、良い人間関係だったのだと思います。

この展覧会では、二人の代表的な作品とともにやりとりしていた手紙が展示されています。
内容はといえば、
「君のことを推薦しておいたから…」
「君は〇〇だから。これは冗談を言っているのだよ…」
「君もアフリカへ行きたいと言っていたが、君には向いていないよ…」
「あの展覧会の出品期日は〇〇だから…」
「評論家にボロクソ言われたよ…」
「評論家の言うことなんかいい加減なものだから気にするなよ…」
「病気の具合はどう?…」
という、私たちと何ら変わらない、とても親近感を覚える内容でした。
彼らも普通の人なんだなぁ、と。

現代のメールやLINEのように気軽にやりとりができないゆえに、限られた紙面、限られた機会で伝えたいことがたくさんある。
そんな想いがギッシリ詰まっているようで、こんな手紙もらったら嬉しいだろうな、と思い羨ましくもありました。

肝心の展示作品も140点あり、見応え十分です。
若い時期のマティスは明るい色使いで写実的な絵を。
でも、第二次世界大戦後に突然抽象的な絵画に移り色彩画家として名をなしていく。
ルオーは終始一貫、暗い色使いでデフォルメした人物像。
これらの特徴がよく現れていて面白かったです。
ルオーの太い輪郭線に絵の具盛り盛りの描き方は独特ですね。
立体的に感じるほど絵の具盛り盛りです。

同時代に生きた天才は数多くいないはずなので、彼らに親交があっても不思議ではありませんが、教科書的に個人を軸として作品年代だけを追っていくと横の関係に気づかないものです。
先日の「ゴッホとゴーギャン展」でも、二人が同棲するほど仲が良かったとその時に初めて知りました。

ゴッホとゴーギャン展

これからは人間関係に注目しながら芸術作品を見ていくのも面白そうですね。

ちなみにミケランジェロとダ・ヴィンチは仲が悪いことで、結果的にお互いに高め合った関係だとか…。

仲の良いどなたかと観に行ってみてはいかがですか。

TAKU

【今週末オススメの展覧会情報】

・「マティスとルオー展-手紙が明かす二人の秘密-」
パナソニック 汐留ミュージアム【東京都】
2017年01月14日~2017年03月26日

マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―


powered by