テクニックじゃない?

皆さんは絵を上手く描けますか?

お正月には年賀状書きますよね。
今はインターネットからフリー素材を探してきて、プリンターで印刷するだけで、見栄えのいいカッコいい年賀状が簡単にできますよね。

でも、自筆で何かおもしろい絵が描けたらもっと楽しいだろうな、と思いませんか。
僕も、自分が思うままに絵が描けたらどんなにいいだろうか、と思ったりします。

ここでいう「絵が描けたら」というのは、暗黙のうちに「上手に」描くことを想定しているわけですよね。
実際には、クオリティを問わなければ誰でもなにがしかの絵が描けるわけだから…。

どんな絵であっても、その人の個性が表れていればそれでいいはずなんですが、それでも世間一般に言う「上手な」絵を描きたいんですよね。
見栄っ張りというか、ええかっこしいというか…。
人からよく思われたい、という自分の欲ですね。お恥ずかしい。

世の中には、写実的でなかったり、高度な技術や突飛な発想を盛り込んでいなくても、長い期間にわたって人々に親しまれおり、多くの人の心を癒してくれる絵画や作品というものがあります。

今回は、そんな作品が展示されている永青文庫の「仙厓ワールド-来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画-」展をご紹介します。

仙厓ワールド -来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画-

詳しい解説はHP等を参考にしていただければいいのですが、簡単にいうと仙厓さんというお坊さんが民衆のために禅の教えや季節の風物詩を墨絵で描いたものです。

本当に簡単な線だけで構成されていて、伊藤若冲のような華やかさや高い技術は感じられません。
歌川国芳のような幻想的で壮大な世界観はありません。
それだけに描き手の「これを描きたい」という思いがダイレクトに伝わってくるように感じました。

素朴で、日常の光景の中にごく普通にある情景が優しいタッチで描かれています。
春を告げる喜び、お正月の鏡餅のまわりを走るネズミ(ということは1800年頃には鏡餅を飾る風習があったということですね)、故郷の田園風景などなど。
誰の心の中にもある原風景であり、共感を持って眺められる景色なんですよね。
そこにテクニックがあるとか、うまい下手ではなく、描き手の思いや気持ちが感じられて、飽きずにいつまでも見ていられる作品たちです。

また、禅の逸話を題材にした作品には「なるほどな」と感じさせられ、今の自分を反省させられるものもありますよ。
私が「あ~、そうだな」と思わされたのは、あるお坊さんが高僧に教えを乞うている間に暗くなってしまった。もっと聞きたいと思ってロウソクに火を灯したら、高僧にその日を吹き消されてしまった。
その瞬間に「あ~、今の自分には理解できないんだ」ということを悟ったという図です。
どんなに自分が求めても、自分の側の準備が十分でないうちは手に入らないものがあるということですよね。実に含蓄のある絵だと思いました。

ただ、今回の展示の中で一番気に入ったのは「言触図」と言う作品です。
一人の男がにこやかな笑顔で右手を口元に当てて「お~い、春が来たぞ」とみんなに呼びかけている絵。
早く春が来て欲しいのと、みんなに「春が来たぞ」と喜びを告げられる穏やかな存在でありたいですね。

永青文庫は、有楽町線「江戸川橋駅」から歩いて15分ほどかかる場所にありますが、神田川沿いの公園の中を歩いていきます。
大通りからは一本奥の通りなので都心にも関わらずとても静かで気持ちのいい散歩道です。
また、永青文庫そのものも旧細川邸(元総理大臣のあの細川さんのご先祖)跡地ということもあり立派な西洋風の木造住宅で歴史を感じられます。
目の前の新江戸川公園も綺麗な日本庭園でのんびりとできますよ。
都心のオアシス、穴場スポットだと思います。
ぜひお散歩がてら行って見てください。

そうそう、私が行った時は、永青文庫の東側椿山荘の土塀の前で全長1mほどのリクガメに赤い靴下と革靴を履かせて散歩させているおじさんに
遭遇しました。
いろんな人がいるものですね。
散歩するリクガメも探してみてください。

TAKU

【今週末オススメの展覧会情報】

・「仙厓ワールド-来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画-」
https://artue.jp/events/14113
永青文庫【東京都】
2017年01月07日~2017年01月29日

仙厓ワールド -来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画-


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