天才に会おう

こんにちは。日曜画家のキノ子です。

明治時代の油絵の多くはあんまり好きではない私ですが、原田直次郎の『靴屋の親爺』は立体感がルーブル美術館級の異次元なので、埼玉県立美術館の原田直次郎展に足を運んできました。

原田直次郎展 -西洋画は益々奨励すべし
原田直次郎展 -西洋画は益々奨励すべし

東京方面からは遠く感じるけど大丈夫。
北浦和駅から徒歩3分ですから(^^)

明治時代の油絵が好きになれない理由と言いますと、洋画草創期だから仕方のないことですが・・・。

・印象派ほど色が美しく眩しいわけでない
・新古典主義のような立体的なリアリティもない
・日本の伝統的な水墨画や日本画のような躍動感もない

という中途半端な感じが物足りないのでしょうね。

そんな私でも見入ってしまったのが、原田直次郎の『靴屋の親爺』を始めとした、老いた男性の絵です。
『靴屋の親爺』は、原田がドイツ留学中に描いた、無精ヒゲがボーボーで、埃で汚れた服をまとい、目をしかめているシワシワのおじいさん。
もし私なら、ドイツ旅行中に同じ容姿の人に出くわしても、素通りしてしまうでしょう・・・。

しかし原田が描くと、そのシワが、まるでアンティーク家具についた傷のような、歴史を味わい深く感じさせてくれる風格となるのです。
老人を描くとか靴屋を描くというのではなく、歴史を重ねた存在としての美しさに着眼していたように感じました。
私のアンティーク好きの感性にぐっと響いてきました。

『靴屋の親爺』は23歳という若い時に描いたのですね・・・。
なんて精神年齢が高いのでしょう。
そして、油絵を学び始めたのは、その3年前の20歳。
なんという上達の速さ。
上手い絵を見に来たというよりも、天才に会いに来た気分になりました。

原田自身の写真があったのも、会えたような気分になった理由でしょう。
画力や着眼点が天才な上に、朗らかで聡明な出で立ちで、「すごくモテたろうな」と思いました。
同じ時代に出会いたかったです。

原田直次郎展は今週末(3/27)までなので、ぜひ!

★☆★☆★

原田と同じ明治に活躍した黒田清輝展は昨日(3/23)スタート。
黒田清輝は、中学校の美術の教科書に載るほどの巨匠。

「黒田清輝」 展 —日本近代絵画の巨匠
「黒田清輝」 展 —日本近代絵画の巨匠

私は黒田が亡くなる直前に病床で描いた『梅林』を見に行きたいです。
『梅林』は他の作品とは違う抽象的な風景画で、梅が微かな炎のように燃えているようにも見えます。
教授や議員も務めた黒田のバイタリティがぐいぐい伝わってくるのです。

キノ子

【今週末オススメの展覧会情報】

・原田直次郎展-西洋画は益々奨励すべし
https://artue.jp/events/8156
埼玉県立近代美術館【埼玉県】
2016年02月11日~2016年03月27日

原田直次郎展 -西洋画は益々奨励すべし
原田直次郎展 -西洋画は益々奨励すべし

・「黒田清輝」展-日本近代絵画の巨匠
https://artue.jp/events/9481
東京国立博物館【東京都】
2016年03月23日~2016年05月15日

「黒田清輝」 展 —日本近代絵画の巨匠
「黒田清輝」 展 —日本近代絵画の巨匠

・博物館でお花見を
https://artue.jp/events/9535
東京国立博物館【東京都】
2016年03月15日~2016年04月10日

博物館でお花見を
博物館でお花見を

・村上隆のスーパーフラット・コレクション -蕭白、魯山人からキーファーまで-
https://artue.jp/events/7010
横浜美術館【神奈川県】
2016年01月30日~2016年04月03日

村上隆のスーパーフラット・コレクション - 蕭白、魯山人からキーファーまで -
村上隆のスーパーフラット・コレクション – 蕭白、魯山人からキーファーまで –


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